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サラリーマンが控除を受けられる経費について

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年8月1日

1 所得税と経費の関係

個人事業主の場合、収入から経費を差し引いた金額に対して所得税が課税されます。

事業を営むにあたって、自ら経費を支出していないことはまれだと思いますので、経費を収入から差し引くことにより、事業収入に課税される所得税が、その分、減額されることとなります。

それでは、会社に雇用されているサラリーマンが、経費を支出した場合には給与から経費を差し引くことができるのでしょうか。

2 原則として経費を差し引くことはできない

サラリーマンの場合、原則として、給与から経費を差し引くことはできないとされています。

サラリーマンに対しては、給与所得控除という制度が設けられており、給与の額に応じ、一定額を差し引いた金額について、所得税が課税されることとなっています。

その代わりに、経費については、原則として給与から差し引くことはできないこととなっているのです。

過去には、この点が不公平であるとして、給与から経費を差し引くべきであるとの裁判がなされたこともありますが、このような主張が認められたことはありません。

3 例外的に、特定支出控除が認められる

例外的に、法律で定められた特定の経費については、給与所得控除額の半額を越える部分に限り、特定支出控除を行うことが認められています。

特定支出控除は、給与所得者控除と併用して差し引くことができます。

参考リンク:国税庁・給与所得者の特定支出控除

このため、特定支出控除が認められる場合、給与所得の計算は以下のとおりとなります。

給与の額-給与所得控除額-(特定支出の額-給与所得控除額の半額)

それでは、どのような支出が特定支出に該当するのでしょうか。

特定支出に該当する可能性があるのは、以下のような支出です。

通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、図書費、衣服費、交際費

もっとも、これらの支出であっても、すべてが特定支出とされるわけではなく、該当するものは非常に限定されています。

また、図書費、衣服費、交際費については、特定支出として扱うことができる上限が65万円までと定められています。

さらに、これらの支出であっても、会社から補助が出るものについては、特定支出控除の対象にはできません。

このように、一定の限界があるものの、これらの支出が多額にのぼっている場合には、給与所得控除と併用して、特定支出控除を用いることができる可能性があります。

なお、特定支出控除を受けるためには確定申告が必要となりますので、不安な場合は税理士にご相談いただくことをおすすめします。

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